Japanische Klassiker mit Furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.137 Zeichen · 26 Bildschirme
明後日から、ニースでは有名な謝肉祭が始まりますからね、率直に申しますと、この筏でニースの謝肉祭を見物に行くのが私の希望なのです、自動車もいやなら、汽車もいや、飛行機、ヨット、馬、……みないやです。どうぞそう思っていただきたい」
ああ、またしても、公爵はそろそろ目の色を変え、口調もおいおい切り口上になってゆく様子、このうえ逆らうと、海になぞ投げ出されまいものでもない。タヌはしきりに「黙れ、黙れ」と、コン吉に眼で信号をする、ではもう諦めるより仕様がないのであろう。コン吉は心細い声で、
「大丈夫でしょうね、乗り越すことはないでしょうね」と、念を押すと、
「間違ったら、伊太利へ行くまでです、それで駄目なら南米ネ」と、不興げに横を向いてしまった。
太陽はアルプスの巓を赤紫色に染めて、ようやくその向うへ沈もうとしている、漫々たる海面は青色から濃い灰色に変り、はるかなるフレエジュの山の上に薄黒い雲が徂来するのは、多分今夜、西北風でもってこのリヴィエラ一帯を吹き荒らそうとする風神の前芸なのであろう。
七、ニース市の光栄、海上より貴人の一行到着さる。苦心惨憺疲労困憊、約十七八時間近くも荒天の海上を漂流したすえ、マルタ島から帰って来た牡蠣船に拾われてニースの海岸に到着したのは翌日の午後四時ごろ、フィンランドの公爵と二人の上品な