Japanische Klassiker mit Furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.137 Zeichen · 26 Bildschirme
の写真が一枚撮りたい、というのである。
さればコン吉とタヌは、水浴着の胸に薔薇とミモザの花束をいだき、この世にある限りの「笑い顔」をして見せたが、写真班は、どれもこれも一向笑っているようには見えない、というのである。その後もいろいろと苦心経営したが、やがて、反対においおいと腹立たしくなって来たので、笑う方はやめにして普通の顔の前でマグネシュウムを焚いて勘弁してもらった。
公爵の方は、これはしきりにおおげさな身振りをし、笑った顔、威張った顔、泣いた顔と、数種の撮影を強要したが、この方は、多分始めっから取り枠の中に乾板がなかったのであろう。翌朝の新聞には、いずれの顔も掲載されていなかった。
その次の訪問者は、
ニース市謝肉祭企画委員
弁護士 フオル・ボロン
及び同夫人、同令嬢であった、フオル・ボロン氏は茴香酒の匂いのする赤鼻の肥大漢、同夫人は猫背の近視眼、しかしながら、同令嬢はさながら二月の水仙のごとき、純白の広東縮緬の客間着に銀の帯を〆め憧憬に満ちたあどけない眼を見開きながら、希望の条々につき、綿々とコン吉をかき口説くのであった。
令嬢が希望する条項は、コン吉にとってははなはだ当惑千万、かたがた、多少ならず自尊心というものすら傷つけられる傾向があったので、コン吉にはコン吉の意見があるのである。