Japanische Klassiker mit Furigana
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プウルのかたわらで
プウルの傍で
Lesen Sie プウルの傍で (プウルのかたわらで) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.843 Zeichen · 34 Bildschirme
今や、彼の父こそ、完全に敗北者であった。息子は息子で意地悪く考えていた。これでも、父はいつものように、「親が子を叱るのは、子を愛するからだ。」といえる積りであろうか。自分の感情にまけて子を打つのではない、と、いえる積りであろうか。
そして、それから、大分経って、やっと彼の心の中に、「親子という関係の前には、如何なる人格も無視される」という事実に対する純粋な憤りが徐々に湧いてくるのであった。
追憶が今度は苦く彼の心を噛んだ。いきなり彼は水の上で身をひるがえすと、顔を水につけたまま、足をバタバタさせて、クロオルの真似事をやり出した。十五米も行かない中に呼吸が続かなくなって了った。彼は顔を上げて底に足をつけて立った。すると、水で曇った眼鏡の前に、いつの間に現れたのか、女の子らしい黄色い姿が見えた。眼鏡の硝子に溜った雫をぬぐって、よく見ると、黄色い汚れた朝鮮服を着た女の子が、プウルの縁から一間ほど離れて、彼のばかばかしい泳ぎぶりを見ていた。年は十一、二位であろう。髪をおさげにして赤い細いリボンで結えていた。三造は口の中で、あやうく「キチベエ」といおうとした。