Japanische Klassiker mit Furigana
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プウルのかたわらで
プウルの傍で
Lesen Sie プウルの傍で (プウルのかたわらで) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.843 Zeichen · 34 Bildschirme
三造はひどい近眼で厚い眼鏡をかけていた。彼はひどく脅やかされていたにも拘らず、いわれた通りに眼鏡をとるのは、意気地がないと感じていた。そうして黙って、二人の上級生を睨みつづけた。突然、一人の手が伸びて、彼の眼鏡のつるを掴んだ。それを防ごうとした三造は、その瞬間、右の頬をしたたか平手で叩かれて、眼鏡を落した。カッとなった彼は、夢中で彼等にとびかかって行った。忽ち彼は草の上に投出された。起上ろうとする所を、二人がのしかかって来て、目茶苦茶に殴った。いい加減殴ってしまうと、二人は黙って帰って行った。
三造は草の上に倒れたまま、しばらくじっとしていた。少しも痛くは感じなかった。涙の粒が彼の眼から草の上に落ちた。俺は意気地のない男だ、と彼は考えていた。せめて、自分から進んで眼鏡をとらなかったことだけが、わずかに彼の自尊心を慰めた。ふと、自分が何か神通力でも得て、散々に今の二人を苛める場面を、彼は頭の中で空想して見た。その空想の中で、彼は孫悟空のように色々な妖術をつかって、さんざんに彼等を悩ますのであった。空想はしばらく続いた。それから覚めると、また新しい憤りが湧いて来た。