Japanische Klassiker mit Furigana
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プウルのかたわらで
プウルの傍で
Lesen Sie プウルの傍で (プウルのかたわらで) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.843 Zeichen · 34 Bildschirme
美しい、乞食のような灰色の眼であった。
三造と並んで、赤いワンピースを着け黒い地の透いた帽子をかぶった十六七の少女が一人腰掛けていた。支那の金持らしい老人と、中年のロシヤの女が、三造と向い合った椅子に並んでいた。二人とも同じように肥って、同じように鼻の頭に汗をかいていた。突然、ロシア女の方が立上って此方へ来ると、三造の隣りの少女に向って英語で時間を訊ねた。少女は困ったような顔をして、妙に間の抜けた笑いを浮べながら、でもとにかく質問の意味は解ったらしかった。彼女は答のかわりに自分の腕時計を相手に見せた。相手はそれに満足して、サンキュウと言いながら帰って行った。少女は三造の方を見ると、顔を赧らめながらきまりの悪そうな微笑を見せようとした。三造は横を向いた。そこの壁には「小心爾的東西」の紙がうす汚れていた。ピストルのケースをさげた日本の憲兵が時々入口から中をのぞきに来た。
突然、水が鼻から少しはいった。鼻のしんが刺すように痛んだ。彼は底に足を着けて立って強く鼻をつまんだ。それから又泳ぎはじめた。一つタァンをすると、もとの所へかえって来て、再びあおむけになって浮んだ。