Japanische Klassiker mit Furigana
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ボニンとうものがたり
ボニン島物語
久生 十蘭
Lesen Sie ボニン島物語 (ボニンとうものがたり) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.772 Zeichen · 41 Bildschirme
ボニン島のことは、かねてあの辺を乗り廻して知っておりましたから、松前の出兵で船を召しあげられぬうちに、名子や手間取の漁師どもを連れて行って、無人島の開地をやろうと思いたちましたので」
「だから、そこのところが聞きたい」駒三郎がいった。
「せっかく大事を手掛けながら、なぜ帰ってきた。漂民が国へ帰れば、どういう扱いを受けるか、知っているだろう」
清兵衛は迷惑そうな顔をしていたが、
「とりたてのない土地にいる百姓を、一人でも多く島へ引こうという、みなの意見で、私と庄吉と松太郎という手間取が使者に立った。アメリカの捕鯨船は、奥州宮古の近くでおろしてくれる約束だったが、風の都合が悪くて、洲崎の沖で放されてしまい、とうとうお船手同心のお調べを受ける羽目になりました。島のことは一切、口外せずにいましたが、松太郎の口から実情が洩れ、そんな島で法楽をしていたのか、さりとは、のどかな奴どもだと、お叱りを受けた」
清兵衛は海に背をむけて、煙草に火を磨りつけると、
「北郡の大湊と田名部は、むかしから漂民を大勢出しておりますが、国元へ戻しても、一歩も村から踏み出さず、船と名のつくものは、漁舟にさえも乗ってはならない。