Japanische Klassiker mit Furigana
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かぜのまたさぶろう
ポラーノの広場
Lesen Sie ポラーノの広場 (かぜのまたさぶろう) von Miyazawa Kenji (宮沢 賢治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 67.062 Zeichen · 135 Bildschirme
九月六日
一昨日からだんだん曇って来たそらはとうとうその朝は低い雨雲を下してまるで冬にでも降るようなまっすぐなしずかな雨がやっと穂を出した草や青い木の葉にそそぎました。
みんなは傘をさしたり小さな簑からすきとおるつめたい雫をぽたぽた落したりして学校に来ました。
雨はたびたび霽れて雲も白く光りましたけれども今日は誰もあんまり教室の窓からあの丘の栗の木の処を見ませんでした。又三郎などもはじめこそはほんとうにめずらしく奇体だったのですがだんだんなれて見ると割合ありふれたことになってしまってまるで東京からふいに田舎の学校へ移って来た友だちぐらいにしか思われなくなって来たのです。
おひるすぎ授業が済んでからはもう雨はすっかり晴れて小さな蝉などもカンカン鳴きはじめたりしましたけれども誰も今日はあの栗の木の処へ行こうとも云わず一郎も耕一も学校の門の処で「あばえ。」と言ったきり別れてしまいました。
耕一の家は学校から川添いに十五町ばかり溯った処にありました。耕一の方から来ている子供では一年生の生徒が二人ありましたけれどもそれはもう午前中に帰ってしまっていましたし耕一はかばんと傘を持ってひとりみちを川上の方へ帰って行きました。