Japanische Klassiker mit Furigana
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マスク
マスク
菊池 寛
Lesen Sie マスク von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.275 Zeichen · 9 Bildschirme
自分は、非常に頼もしい気がした。ある種の同志であり、知己であるような気がした。自分は、そう云う人を見付け出すごとに、自分一人マスクを付けて居ると云う、一種のてれくさゝから救われた。自分が、真の意味の衛生家であり、生命を極度に愛惜する点に於て一個の文明人であると云ったような、誇をさえ感じた。
四月となり、五月となった。遉の自分も、もうマスクを付けなかった。ところが、四月から五月に移る頃であった。また、流行性感冒が、ぶり返したと云う記事が二三の新聞に現われた。自分は、イヤになった。四月も五月もになって、まだ充分に感冒の脅威から、脱け切れないと云うことが、堪らなく不愉快だった。
が、遉の自分も、もうマスクを付ける気はしなかった。日中は、初夏の太陽が、一杯にポカポカと照して居る。どんな口実があるにしろ、マスクを付けられる義理ではなかった。新聞の記事が、心にかゝりながら、時候の力が、自分を勇気付けて呉れて居た。
ちょうど五月の半であった。市俄古の野球団が来て、早稲田で仕合が、連日のように行われた。帝大の仕合がある日だった。自分も久し振りに、野球が見たい気になった。