Japanische Klassiker mit Furigana
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ランスきこう
ランス紀行
岡本 綺堂
Lesen Sie ランス紀行 (ランスきこう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.777 Zeichen · 12 Bildschirme
米国の兵士はその青い葉をまいて笛のように吹いている。一町も距れた畑のあいだに、三四軒の人家の赤煉瓦が朝の日に暑そうに照されている。
『八十五六度だろう。』と、I君は云った。汽車が停まると頗る暑い。われわれが暑がって顔の汗を拭いているのを、英国紳士は笑いながら眺めている。そうして、『このくらいならば歩いた方が早いかも知れません。』と云った。われわれも至極同感で、口を揃えてイエス・サーと答えた。
英国紳士は相変らずにやにや笑っているが、我々はもう笑ってはいられない。
『どうかして呉れないかなあ。』
気休めのように列車は少し動き出すかと思うと、又すぐに停まってしまう。どの人もあきあきしたらしく、列車が停まると皆な車外に出てぶらぶらしていると、それを車内へ追い込むように夏の日光はいよいよ強く照り付けてくる。眼鏡をかけている私もまぶしい位で、早々に元の席へ逃げて帰ると、列車は又思い出したように動きはじめる。こんな生鈍い汽車でよく戦争が出来たものだと云う人もある。なにか故障が出来たのだろうと弁護する人もある。戦争中にあまり激しく使われたので、汽車も疲れたのだろうと云う人もある。