Japanische Klassiker mit Furigana
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リラのてがみ
リラの手紙
豊田 三郎
Lesen Sie リラの手紙 (リラのてがみ) von 豊田 三郎 (とよださぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.702 Zeichen · 30 Bildschirme
秋の初めのある夜図書館からの帰りに、久能はその時雑誌の三号目の編輯当番だったので、三ツ木の処に廻って原稿を催促すると、彼もまだ手をつけていず、久能君、不思議だねえ、と三ツ木は歎息していった、筆をとるまでは百千万の想像が阿修羅の如くあばれまわっていたのに、いざとなるとそいつらは宦官のようにおとなしくなっちまいましてね、併し久能君、落付いてやりましょう、と下宿を飛び出し、撞球屋に案内して、白珠、赤珠をごろごろ限りなく撞き出したので、久能がもて余していると、三ツ木は、僕はこうやっているとふっといい題材を思いつくんですよ、といって久能を散々に負かした。久能が下宿に帰ってくると鍵がおりていた。お主婦さんが起きて開けてくれ、そうそうと思い出したように、久能さん、お手紙、青ちゃんが預ってるわ、と少し皮肉らしくいったので、突嗟に久能は異常なものを感じた。今まで彼に来た手紙がそんな取扱をうけたことはなかった。すぐ階段を上らずに、まだ起きているのか、淡く灯のついている青江の部屋の障子を細目に開くと、仰向けの青江の白い寝顔が見えた。ちょっと、と呼びかけてみると、表情は動かなかったが、硬ばった頬と唇には明らかに意識が動いていて、眼が次第に開いて来、久能を上眼に盗み見ると、頸を縮めて夜具の中にかくれていった。