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Japanische Klassiker mit Furigana

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レモンのはなのさくおかへ

レモンの花の咲く丘へ

国枝 史郎

Lesen Sie レモンの花の咲く丘へ (レモンのはなのさくおかへ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.016 Zeichen · 142 Bildschirme

Aozora Bunko

解らない。(間)わからない方がいいのかも知れぬ。解った時は私の運命の沈む時かも知れぬ。(間)あの塔の中には私のお父様もお母様も、そして代々の御先祖様も、みんなおいでなさるのだそうな。そしてその人達が私の来るのを待っているそうな。塔の面にちらつく人影は、その人達の影だそうな。(機に手をかけ)そしてこの綾糸の切れた時、私も塔へ行かねばならぬ。それが私の身にかかっている命の預言、それが私のこの世の運命。(二三度機を織り)私はどうしてもあの塔へ行く気にはなれぬ。晴々しい光も、なつかしい色も、浮き立つような物の音も、何一つ楽の無い、あの灰色の墓場の塔へ、私はどうしても行く気にはなれぬ。あの塔の中にあるものは、もの恐ろしい沈黙と、総てのものを支配する大きい大きい暗黒ばかり、その沈黙と暗黒とへ、私はこの身を何んで投げよう。私はいつまでも此処にこうして機を織っていよう。(と機を織りつつ歌う)

若き世の恋の色彩、

日の如き赤き喜、

ああそれもまたたく消えて、

墓を巡る夕月の色、

悲しみの青き綾糸、

人生の縦となりけり。

(塔を眺め)そろそろ日が暮れると見えて、塔の上の湿った影が、だんだん下へ下りて来る。