Japanische Klassiker mit Furigana
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レモンのはなのさくおかへ
レモンの花の咲く丘へ
国枝 史郎
Lesen Sie レモンの花の咲く丘へ (レモンのはなのさくおかへ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.016 Zeichen · 142 Bildschirme
公子 ただ恐ろしいものだけでは私には解りかねまする。
女子 その騎士姿の音楽家の恐ろしい眼でござります。(間)その恐ろしい魔法の光り物がその人の眼だと気付いた時は、娘の体は音楽家の両手の中にありました。
公子 (せわしく)両手の中に。
女子 (公子を止めて)音楽家の両手の中にありました。けれども体が両手の中に在ったと申しますのは、決して体をまかせたと申すのではござりませぬ。
公子 そんならその娘は、今でもなお清い体でござりますな。
女子 はい、その娘の体は、今もなお鈴蘭のように清い体でござります。(悲しげに、また恋しげに)、けれども遂にはその音楽家の両手に抱かれて、身も心もまかせるようになるのでござりましょう。
公子 それは何故でござります。
女子 別れる時その人は(と紅の薔薇を唇にあて)これこの紅の薔薇の花を、娘の胸へさして、そしてこのように申しました。「今度お前と逢う時は、お前の幸福になる時だ」とこのように申しました。そして何時の間に来ていたやら、岸に着いていた帆舟に乗って、南の方へ消えて行ってしまいました。帆舟が地平線の背後へ消えてなくなるまで娘は見送っておりました。