Japanische Klassiker mit Furigana
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レモンのはなのさくおかへ
レモンの花の咲く丘へ
国枝 史郎
Lesen Sie レモンの花の咲く丘へ (レモンのはなのさくおかへ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.016 Zeichen · 142 Bildschirme
領主 そうか、一向知らなかった(とまた窓に向い)。どうだ今日の夕日の美しさは、建国の日のようじゃないか。お前の衰えた眼にも少しは立派に見えようがな。ほら、帆をなかば張った船が岩陰から現われた。帆は夕日で燃えるように赤く、水に映った様子が人魚そっくりだ。あれは人魚の舟だ。人魚の舟は地平線をめがけて進んで行く。日が沈み限る頃、地平線の上へ行き着くだろう。沈む日と人魚の舟とが一緒になって、地平線の外へ消え失せる時、月がそろそろと昇り始めるのだ。綿帽子を取りはずされた嫁様のように恥かしさとかがやかしさとで、どんなに月は下界の美貌に恍惚とするだろう。そして、月の秋波があの絶壁の上の音楽堂に注がれた時、どんなにあの白い建築が、方解石のように美しく、形よく見えることだろう。あの白衣を着けたラマ僧のような音楽堂が(間)それは月夜のことだ、今この夕日に照り輝いている有様も、何と神々しい姿ではないか。円錐形の銀板の屋根は、洪水のように光を漲らせ、幾万となく打ちつけた銀の鋲は、騎士の鎧よりも目覚ましい。白壁は薔薇色の陰を帯び、窓の掛け布は恋人の腕にすがった乙女のように力なく垂れ下がり、それに空の七色が接吻している。