Japanische Klassiker mit Furigana
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ヴィヨンのつま
ヴィヨンの妻
Lesen Sie ヴィヨンの妻 (ヴィヨンのつま) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.363 Zeichen · 112 Bildschirme
私は苦笑し、お茶を注いで出した。
「お前は俺と喧嘩した事を忘れたか? しょっちゅう喧嘩をしたものだ」
「そうだったかな」
「そうだったかなじゃない。これ見ろ、この手の甲に傷がある。これはお前にひっかかれた傷だ」
私はその差し伸べられた手の甲を熟視したが、それらしい傷跡はどこにも無かった。
「お前の左の向う脛にも、たしかに傷がある筈だ。あるだろう? たしかにある筈だよ。それは俺がお前に石をぶっつけた時の傷だ。いや、よくお前とは喧嘩をしたものだ」
しかし、私の左の向う脛にも、また、右の向う脛にも、そんな傷は一つも無いのである。私はただあいまいに微笑して、かれの話を傾聴していた。
「ところで、お前に一つ相談があるんだがな。クラス会だ。どうだ、いやか。大いに飲もうじゃないか。出席者が十人として、酒を二斗、これは俺が集める」
「それは悪くないけど、二斗はすこし多くないか」
「いや、多くない。ひとりに二升無くては面白くない」
「しかし、二斗なんてお酒が集まるか?」
「集まらない、かも知れん。わからないが、やってみる。心配するな。しかし、いくら田舎だってこの頃は酒も安くはないんだから、お前にそこは頼む」