Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ヴィヨンのつま

ヴィヨンの妻

太宰 治

Lesen Sie ヴィヨンの妻 (ヴィヨンのつま) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.363 Zeichen · 112 Bildschirme

Aozora Bunko

俺も東京にいた頃、いろんな文学者と附き合いがあったからな」

しかし、私にはとてもそれは信じられなかった。

「やっぱり、でも、いい部屋だな。さすがに、立派な普請だ。庭の眺めもいい。柊があるな。柊のいわれを知っているか」

「知らない」

「知らないのか?」と得意になり、「そのいわれは、大にして世界的、小にしては家庭、またお前たちの書く材料になる」

さっぱり言葉が、意味をなして居らぬ。足りないのではないか、とさえ思われた。しかし、そうではなかった。なかなか、ずるくて達者な一面も、あとで見せてくれたのである。

「なんだろうね、そのいわれは」

にやりと笑って、

「こんど教える。柊のいわれ」ともったい振る。

私は押入れから、半分ほどはいっているウイスキイの角瓶を持ち出し、

「ウイスキイだけど、かまわないか」

「いいとも。かかがいないか。お酌をさせろよ」

永い間、東京に住み、いろんな客を迎えたけれども、私に対してこんな事を言った客は、ひとりも無かった。

「女房は、いない」と私は嘘を言った。

「そう言わずに」と彼は、私の言う事などてんで問題にせず、「ここへ呼んで来て、お酌をさせろよ。