Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとつぼかん
一坪館
海野 十三
Lesen Sie 一坪館 (ひとつぼかん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.902 Zeichen · 56 Bildschirme
むかしのようなゲートルに戦闘帽の人なんか、どこにもみられなくなった。モンペもすがたをけした。女はスカートのついた服をきてあるいた。男たちのズボンのおり目はきちんとついていたし、靴はぴかぴかにみがかれていた。それはぼろ靴でほうぼうが修理してあったが……。
時代は、すばやくうつっていくのだ。平和が来て、ひとびとは安心して文化のみちをふんですすむのだ。そして銀座かいわいは、どこよりもまっ先にきれいになり、りっぱになり、そしてあっと目をうばうようなものがあらわれるのだった。
銀座をあるいていても、もう靴にほこりがつかなくなった。一丁目で靴をみがいて、銀座八丁をぐるぐると二回ぐらいまわっても、靴はやはりぴかぴか光っていた。文化の光は、ようやく銀座からかがやきはじめたのである。「ふーン、もう目につかなくなっちゃった。これじゃしようがない」
源一は、一坪館の向い側に立って、こっちを見ながら、大きなためいきをついた。
建てたときは、あたりからずばぬけて背の高い三階建の一坪館だったけれど、今はもうあたり近所にかなりりっぱなものが建ってしまって、一坪館なんか下の方にひくく首をちぢめてしまったかたちだ。