Japanische Klassiker mit Furigana
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いっせきわ
一夕話
Lesen Sie 一夕話 (いっせきわ) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.921 Zeichen · 12 Bildschirme
が、そんな事よりも話したいのは、あの女と若槻との関係なんだ。――」
和田はこう前置きをしてから、いつにない雄弁を振い出した。
「僕は藤井の話した通り、この間偶然小えんに遇った。所が遇って話して見ると、小えんはもう二月ほど前に、若槻と別れたというじゃないか? なぜ別れたと訊いて見ても、返事らしい返事は何もしない。ただ寂しそうに笑いながら、もともとわたしはあの人のように、風流人じゃないんですというんだ。
「僕もその時は立入っても訊かず、夫なり別れてしまったんだが、つい昨日、――昨日は午過ぎは雨が降っていたろう。あの雨の最中に若槻から、飯を食いに来ないかという手紙なんだ。ちょうど僕も暇だったし、早めに若槻の家へ行って見ると、先生は気の利いた六畳の書斎に、相不変悠々と読書をしている。僕はこの通り野蛮人だから、風流の何たるかは全然知らない。しかし若槻の書斎へはいると、芸術的とか何とかいうのは、こういう暮しだろうという気がするんだ。まず床の間にはいつ行っても、古い懸物が懸っている。花も始終絶やした事はない。書物も和書の本箱のほかに、洋書の書棚も並べてある。おまけに華奢な机の側には、三味線も時々は出してあるんだ。