Japanische Klassiker mit Furigana
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いったとはは
一太と母
宮本 百合子
Lesen Sie 一太と母 (いったとはは) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.507 Zeichen · 21 Bildschirme
「このおばさまは、母さんが一ちゃん位のときからのお友達なのよ」
初めのうち、一太は驚いてその綺麗な装をして坐っている女の人を見たものだ。こんな女の人が、一太の始終見るような女の子で、またおっかちゃんもちびな子供で遊んだということが真に不思議であった。一太は極りの悪そうな横坐りをしてニヤニヤ笑った。
「あなたお幾つ? 家の武位かしら!」
「一太、幾つですかって」
「十」
「じゃ一つ違いですね、家のは九つだから。学校は何年? 三年? 四年?」
「…………」
一太は凝っと大きい母親の眼にみられ正直に、
「学校へ行きません」
と云った。一太は変に悲しい気がするのが常であった。それは一太のその答えを聴くと人が皆、一種異様な表情をするからであった。一太は居心地わるく感じて、訊いた人の顔をみる。訊いた人は一層具合の悪い顔で言葉もなくいる。一太の母はそのとき、
「本当にお恥しくってお話申しあげも出来ないんですよ。震災のときこれの親父に死なれましてからってもの、もう手も足も出なくなっちゃいましてね」
と、徐ろに永い、いつになっても限りのない貧の託ち話を始める。帰るとき、一太と母は幾らかの金の包みと、そう古くない運動シャツなどを貰った。