Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼくのぼうしのおはなし
一房の葡萄 他四篇
有島 武郎
Lesen Sie 一房の葡萄 他四篇 (ぼくのぼうしのおはなし) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.712 Zeichen · 39 Bildschirme
それだのに帽子はどうしてもつかまりません。始めの中は面白くも思いましたが、その中に口惜しくなり、腹が立ち、しまいには情けなくなって、泣き出しそうになりました。それでも僕は我慢していました。そして、
「おおい、待ってくれえ」
と声を出してしまいました。人間の言葉が帽子にわかるはずはないとおもいながらも、声を出さずにはいられなくなってしまったのです。そうしたら、どうでしょう、帽子が――その時はもう学校の正門の所まで来ていましたが――急に立ちどまって、こっちを振り向いて、
「やあい、追いつかれるものなら、追いついて見ろ」
といいました。確かに帽子がそういったのです。それを聞くと、僕は「何糞」と敗けない気が出て、いきなりその帽子に飛びつこうとしましたら、帽子も僕も一緒になって学校の正門の鉄の扉を何の苦もなくつき抜けていました。
あっと思うと僕は梅組の教室の中にいました。僕の組は松組なのに、どうして梅組にはいりこんだか分りません。飯本先生が一銭銅貨を一枚皆に見せていらっしゃいました。
「これを何枚呑むとお腹の痛みがなおりますか」
とお聞きになりました。
「一枚呑むとなおります」