Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

いっぽんのはな

一本の花

宮本 百合子

Lesen Sie 一本の花 (いっぽんのはな) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.709 Zeichen · 55 Bildschirme

Aozora Bunko

真空のように吸いよせる。朝子の全身がそこへ向ってひたすら墜落することを欲した。その発作のような瞬間、朝子は自分の肉体の裡で、大きな花弁が渦巻き開き、声なき叫びで心に押しよせるように切なく感じるのであった。

或る午後、幸子が長椅子で雑誌を読んでいる縁側に籐椅子を出し、朝子が庭を眺めていた。隣家の生垣の際に一株の金木犀があった。やや盛りを過ぎ、朝子の方に庭土の上へまで、金柑色の細かい花を散り敷いてその涼しい香を撒いていた。その香は秋の土の冷えの感じられる香であった。

朝子は、昼過、印刷屋から帰ったところであった。そこで年とった女工が、隣室で、

「ねえ、源さん、組合ってあるんだってね、そこへ入ると毎月二十銭だか会費納めるんですってねえ」

「はあ」

「そいで何だってえじゃあないの、どっかの工場でストライキでもすると、皆でお金出し合ってすけてやるんだってね」

「へえ」

「いくらでも出さなくちゃならないのじゃ、困っちゃうね」

源さんと呼ばれた男が、気なさそうに、

「ええ」

と返事した。そんなことを、元気に幸子に喋ってきかせた。

朝子の黙り込んだのを、幸子はただ疲れたのだと思ったらしい。