Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いっぽんのはな

一本の花

宮本 百合子

Lesen Sie 一本の花 (いっぽんのはな) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.709 Zeichen · 55 Bildschirme

Aozora Bunko

幸子の姉で、山口県へ嫁入っている人があった。

春、葡萄状鬼胎の手術を受けてから、ずっとよくなかった。最近容体の面白くない話があったところへ、或る日、幸子の留守、電報が来た。幸子が帰って、それを見たのは四時頃であった。

「こりゃ行かなくちゃならない」

「勿論だわ」

「旅行案内、私んところになかったかしら」

朝子は、今独りにされることは恐しくなって来た。

幸子が帰って来る迄に、自分は今の自分でなくなってしまっている。――そんな予感がした。

朝子は、

「私も行っちゃおうかしら」

と云った。

「一緒に?」

「うん」

「そりゃ来たっていいけど……」

幸子は、旅行案内から眼をあげ、

「駄々っ児だな。まだ雑誌も出ないじゃないの」

と苦笑した。

「駄目だ、仕事を放っちゃいけない」

校正がまだ終っていなかった。然しそれはどうにもなることであった。暫く考えた後、朝子は、

「私、行く」

と、椅子から立ち上った。

「今独りんなると碌なことをしないにきまってる。いやだわ」

幸子には、いい意味でぼんやりなところがあり、朝子の動揺している心持を知っていても、実感としては、わからないらしかった。彼女は、