Japanische Klassiker mit Furigana
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いちまいのきっぷ
一枚の切符
江戸川 乱歩
Lesen Sie 一枚の切符 (いちまいのきっぷ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.503 Zeichen · 27 Bildschirme
これは僕が轢死事件の現場で、計らずも拾ったものだがね、僕はこれによって博士の無罪を主張するのだ」
「馬鹿云い給え、冗談だろう」
松村は、満更ら否定するでもない様な、半信半疑の調子で云った。
「一体、証拠なんかに拘らず、博士は無罪であるべきなんだ。富田博士ともあろう学者を、高が一人のヒステリー女の命の為にこの世界――そうだ、博士は世界の人なんだ。世界の幾人を以て数えられる人なんだ。――この世界から葬って了うなんて、どこの馬鹿者がそんな事を考えるんだ。松村君、実は、僕は今日一時半の汽車で、博士の留守宅を訪問する積りでいるんだ。そして、少し留守居の人に聞いて見たいことがあるんだ」
こういって、腕時計を一寸眺めた左右田は、ナプキンを取ると、立上った。
「恐らく博士は自分自身で弁明されるだろう。博士に同情する法律家達も博士の為に弁ずるだろう。が、僕が此処に握っている証拠物件は他の何人も所有しないのだ。訳を話せってのか。マア待ち給え。も少し調べて見ないと完結しない。僕の推理にはまだ一寸隙があるんだ。それを充すべく一寸失敬して、これから出掛けて来る。ボーイさん。自動車をそういって呉れ給え。