Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いちまいのきっぷ

一枚の切符

江戸川 乱歩

Lesen Sie 一枚の切符 (いちまいのきっぷ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.503 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

事実、博士はひそかに妾宅を構えて何とかいう芸妓上りの女を溺愛しているんだ。が、僕はこういうことが、博士の値うちを少しだって増減するものとは思わないがね。さて、ヒステリーという奴は大抵の亭主を狂気にして了うものだ。博士の場合も、これらの面白からぬ関係が募り募って、あの惨事を惹起したのだろう。という推論は、まず条理整然としているからね。

ところが、茲に一つ残された難問題がある。というのは、最初話した死人の懐中から出たという書置だ。色々調べて見た結果、それは正しく博士夫人の手蹟だと判明したんだが、どうして夫人が、心にもない書置などを書き得たか。それが黒田刑事にとって一つの難関だったのだ。刑事もこれには大分手古摺ったと云っているがね。が、マア苦心よろしくあった後、発見したのが、皺になった数枚の反故紙。これが何だというと手習草紙でね、博士が、夫人の手蹟を、何かの反故に手習したものなんだ。その内一枚は夫人が、旅行中の博士に宛てて送った手紙で、これを手本にして、犯人が自分の妻の筆癖を稽古したという訳だ。なかなかたくらんだものさ。それを刑事は、博士の書斎の屑籠から発見したというんだ。