Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとつぶのしんじゅ
一粒の真珠
小川 未明
Lesen Sie 一粒の真珠 (ひとつぶのしんじゅ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.096 Zeichen · 5 Bildschirme
勇吉は、暗い野道を提燈の火を頼りに、町へ向かって、小さな足で、急ぎますと、冷たい雪が顔にかかり、またえりもとへ入り込みました。けれど、彼は、ただ母親の身を案ずるので心がいっぱいであって、他のことはなにも感じなかったのであります。
ふと、ピチャピチャという、ぬかるみを歩いてくるわらじの音が耳に入ったので、彼はびっくりして顔を上げますと、目の前へ、白い着物を着て、つえをついた一人の男が立っていました。勇吉は、怖ろしいということも忘れて、じっとかさの下の顔を見ますと、黒いひげが生えていて、目が光っていました。
「おお子供、この夜中に、ひとりでどこへいく?」と、男は、姿に似ず、やさしくたずねたのでした。
勇吉は、そのようすつきで、旅をするお坊さんか、行者であろうと思いましたから、自分は母親が病気なので、これから町へお医者さまを迎えにいくのだということを話しました。
すると、だまって話をきいていた男は、
「おまえが、これから迎えにいく医者は、ただいったのでは、とてもきてはくれまい。この珠をやるからと頼んでみるがいい。」といって、頸にかけていた数珠をはずして、その中から一粒の珠を抜いて、少年の手に渡したのであります。