Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとあしおさきに
一足お先に
夢野 久作
Lesen Sie 一足お先に (ひとあしおさきに) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.200 Zeichen · 79 Bildschirme
の字型に曲ったと思うと、普通の人間の片足がする通りに、ヒョコリヒョコリと左手の窓の方へ歩き出した。
私の心臓が二度ばかりドキンドキンとした。そうしてそのまま又、ピッタリと静まった。……と思うと同時に頭の毛が一本一本にザワザワザワザワと動きまわりはじめた。
そのうちに私の右足は、そうした私の気持を感じないらしく、悠々と四足か、五足ほど歩いて行ったと思うと、窓の下の白壁に、膝小僧の肉腫をブッ付けた。そこで又、暫くの間フウラリフウラリと躊躇していたが、今度は斜に横たおしになって、切っ立った壁をすこしずつ、爪探りをしながら登って行った。そうしてチョウド窓枠の処まで来ると、框に爪先をかけながら、又もとの垂直に返って、そのまま前後左右にユラリユラリと中心を取っていたが、やがて薄汚れた窓硝子の中を、影絵のようにスッと通り抜けると、真暗い廊下の空間へ一歩踏み出した。
「……ア…アブナイッ……」
と私は思わず叫んだが間に合わなかった。私の右足が横たおしになって、窓の向う側の廊下に落ちた。森閑とした病院じゅうに「ドターン」という反響を作りながら………………。
「モシモシ……モシモシイ」