Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みっつのひふん

三つの悲憤

豊島 与志雄

Lesen Sie 三つの悲憤 (みっつのひふん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.748 Zeichen · 18 Bildschirme

Aozora Bunko

そして彼は両膝に顔を埋めて泣きました。泣きながら、歯をくいしばり、両手の拳を握りしめました。

久しくたって、彼はその塔からおりてゆきました。憤りに燃え立った恐ろしい顔をしていました。

それから四年ほどたった秋のことです。阮家の近くの、海岸寄りの湖水のほとりで、阮家に出人りをしている老船頭の張達が、煙草をふかしながら、湖水に小舟を浮べて網の寄せ打ちをやっている漁夫たちを、笑顔で眺めていました。

その湖水の渚を、馬上でやってくる二人の男がありました。いずれも逞しい若者で、粗末ながら乗馬用の服装をし、腰には拳銃らしい革袋をさげ、鞍には大きな荷をつけていました。

その二人は、時々なにか語りあいながら、渚づたいにゆっくり馬を進めて来ましたが、張達の前まで来ると、一人がぴたりと馬を止めて、声をかけました。

「お前は、張達ではないか。」

張達はとびあがらんばかりに驚いた様子で、それからもう頭をさげて、はいはい……とお辞儀ばかりしています。

若者は馬からおりて、張達の肩を叩いていました。

「何をしてるのだ、張達、僕が分らないのか。」

「はあ、あなた様は……。」

張達は上眼使いに、若者の顔を見ていましたが、ふいに、わっと大きな声を立てて、両手を差出しました。