Japanische Klassiker mit Furigana
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さんにんのそうまだいさく
三人の相馬大作
直木 三十五
Lesen Sie 三人の相馬大作 (さんにんのそうまだいさく) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.603 Zeichen · 66 Bildschirme
「いいや」
大作ははげしく、首を振った。蒼白い顔色であるが、頬骨は高く、額の広い、面擦れのできた大作は、こういうと、何人も動かしがたい決心の様が、眼にも、額にも、脣にも、現れたようであった。
「わしを召捕るなら召捕るがいい。津軽に袖の下を掴まされたのは、老中の一人か二人、または三四人のかかりの者位であろうが、奉行所まで、真逆、動かされてはいまい。わしを召捕って、訊問するとなれば、南北両奉行寺社奉行立会いの上であろうが、その面前でわしのしたことを、包みなく披露してやろう。さすれば、罪は津軽のみでなく、老中へまで及んで、現時の如き、腐り果てた支配向きは、いささかなりとも直ることもあろう」
「然し――」
「奉行が老中に、圧迫されるというのであろう」
「はい」
「上下共に、法を曲げて直を直とせん世ならば、人生生きていて何の甲斐がある。上下、人民までが、奢侈にのみ走り、遊惰に傾き、大義大道を忘れている世に、碌々、生を貪っていて、何んの五十年ぞ。その時には、奉行の前で、いささか、心中の気を吐いて、倒れるだけじゃ。丈夫の事を為す。必ずしも事の成否を問わん。ただ、心の命ずるがままに行って、倒れて後やむ。