Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さんにんのそうまだいさく

三人の相馬大作

直木 三十五

Lesen Sie 三人の相馬大作 (さんにんのそうまだいさく) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.603 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

七

二人の侍が、ずかずかと、茶店の中へ入ってきて

「只今、津軽越中守様が、御通行に相成る。許しのあるまで、ここから出んよう」

茶店の亭主が、膝まで手をおろして

「はいはい」

と、つづけさまに、お叩頭をした。役人は去ってしまった。

「厳しいのう」

一人が、隣りの男へ、小声でいった。

「大砲以来、とても、とても――へっ、昼寝でもしてこまそか」

「然し、相馬大作って、人は、大きい声でいえねえが、えらい人だの。一人で、南部を背負って立って、津軽の睾丸を、縮み上らせているのだから――」

「越中さんも、ここまでくりゃ、然し、一安心だ。川を越えりゃ、自領だからのう」

「へい、へい」

表で、忙がしい返事がして、一人の旅商人が、一人の役人に襟首をつかまれながら、小走りに、押されて茶屋の中へ入ってきた。

「うろうろするな、野良犬めっ」

役人は、商人を突放しておいて、去ってしまった。

「何うもはや――」

商人は、襟を直し、髪を撫でて

「御免なされて、どうも、うかうか歩きもできん」

「何うしましたえ」

「何にね、その村から、近道しようと、畦を出てきたら、こらっと、やられて、猫の子みたいに、首筋を掴まれて――何うも、相馬大作も、いろいろたたりをしますわい。