Japanische Klassiker mit Furigana
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さんえもんのつみ
三右衛門の罪
Lesen Sie 三右衛門の罪 (さんえもんのつみ) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.132 Zeichen · 15 Bildschirme
多門はその竹刀の下を胴へ打ちこもうと致しました。それからかれこれ十合ばかりは互にを削りました。しかし最後に入り身になった多門は数馬の面へ打ちこみました。………」
「その面は?」
「その面は見事にとられました。これだけは誰の目にも疑いのない多門の勝でございまする。数馬はこの面を取られた後、だんだんあせりはじめました。わたくしはあせるのを見るにつけても、今度こそはぜひとも数馬へ扇を挙げたいと思いました。しかしそう思えば思うほど、実は扇を挙げることをためらうようになるのでございまする。二人は今度もしばらくの後、七八合ばかり打ち合いました。その内に数馬はどう思ったか、多門へ体当りを試みました。どう思ったかと申しますのは日頃数馬は体当りなどは決して致さぬゆえでございまする。わたくしははっと思いました。またはっと思ったのも当然のことでございました。多門は体を開いたと思うと、見事にもう一度面を取りました。この最後の勝負ほど、呆気なかったものはございませぬ。わたくしはとうとう三度とも多門へ扇を挙げてしまいました。――わたくしの依怙と申すのはこう云うことでございまする。