Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さんがつのだいよんにちよう

三月の第四日曜

宮本 百合子

Lesen Sie 三月の第四日曜 (さんがつのだいよんにちよう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.826 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

きのう弁当に入っていたのも同じものだ。王子の婆さんは元からそういうことを平気で下宿人の誰にでもした。この頃は、ものがあがったというわけでなおひどい。男連は、だからじき弁当を持って行かないようになってしまうのであった。

「ね、あんたどう思う? 伍長さん、ほんとにピクニックへつれてってくれると思う?」

「さあ……どうなんだろう」

と云いつつ、サイの目はてる子が弁当の下にひろげている古新聞の写真にひかれた。

「ちょっと」

「なに?」

「その写真」

サイが箸を持ったままの手でこちらへ向け直して見ると、それはやっぱりそうだった。勇吉を迎えに行ったあの朝、やはり上野へ着いた山形県からの小学卒業生たちが一団で撮られていて、東北も雪の深い奥から来た少年たちは絣の筒っぽを着て、大きい行李を持っている。偶然こっちへ顔を向けている少年の円っこく光ったようにとれている鼻や、おどろいたような真黒な二つの眼は、その足許におかれた新しい行李とあわせてサイの心に迫って来るものがあった。可憐なる産業戦士、晴れの入京という見出しがついている。あの三月の第四日曜にはその前の日に卒業式をすましたような少年たちが、万を越す数で地方からこの東京へ教員に引率されて来たのだ。