Japanische Klassiker mit Furigana
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さんがつのだいよんにちよう
三月の第四日曜
宮本 百合子
Lesen Sie 三月の第四日曜 (さんがつのだいよんにちよう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.826 Zeichen · 42 Bildschirme
「うー、たまんねえナ」
と急に茶づけにして、かっこんで、
「お婆さんは智慧者だよ。喉へつかえて腹が忽ちいっぱいだ」
まがい銘仙の袷の裾を脚に絡ませるようにして大股に立って行ってしまった。
「ふん、すこし金まわりがいいと、すぐあれだ」
婆さんは、おからの煮たのをよそいながら、
「ちっとはよそも見るがいいのさ」
と云った。
「酒屋の横の井上さんなんかじゃ、六畳一間を四人にかして十七円ずつとってるじゃないか。それだって、今時この辺で何て云う者はありゃしない」
そういうとき、婆さんはサイをいかにも家内のもののように自分の側にひきつけた物云いをするのであった。サイはつかまれたその袂を振り※(「てへん+宛」、第3水準1-84-80、読みは「もぎ」「ねじ」、385-4)るような気分で、ぽってりした一重瞼に険をふくませ、黙りこくっていた。
四
暫く見かけなかった千人針が、駅の附近にちらほらしはじめた。サイは謂わば千人針の東京へ出て来て暮すようになったのだったが、赤い糸を縫いつける黄色い布地も、きのうあたり頼まれて手にとったのは木綿でなく、妙なレーヨンの綾織のようなものになっていた。