Japanische Klassiker mit Furigana
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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
Lesen Sie 三浦老人昔話 (みうらろうじんむかしばなし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.637 Zeichen · 224 Bildschirme
などと云うようになった。それが同じ枡の人たちの耳に這入ると、四人連れのうちの若いおかみさんと妹娘とが顔の色を悪くしました。この女たちは大の権ちゃん贔屓であったのです。そのとなりに坐っていて、権十郎はまずいの、下手だのとむやみに罵っているのだから堪りません。おかみさんも仕舞には顳に青い筋をうねらせて、自分の亭主にさゝやくと、めん鶏勧めて雄鶏が時を作ったのか、それとも亭主もさっきから癪に障っていたのか、藤崎さんにむかって「狂言中はおしずかに願います。」と咎めるように云いました。
藤崎さんも逆らわずに、一旦はおとなしく黙ってしまったのですが、少し経つと又夢中になって「まずいな、まずいな。」と口のうちで繰返す。そのうちに幕がしまると、その亭主は藤崎さんの方へ向き直って、切口上で訊きました。
「あなたは先程から頻りに山崎屋をまずいの、下手だの、大根だのと仰しゃっておいでゝございましたが、どう云うところがお気に召さないのでございましょうか。」
前にも申す通り、その当時の贔屓というものは今日とはまた息込みが違っていて、たといその俳優に一面識が無くとも、自分が蔭ながら贔屓している以上、それを悪く云う奴等は自分のかたきも同様に心得ている時節ですから、この男も眼の色をかえて藤崎さんを詰問したわけです。