Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゃんはい

上海

横光 利一

Lesen Sie 上海 (しゃんはい) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.628 Zeichen · 292 Bildschirme

Aozora Bunko

「お杉さんは寝るところはあるのかね。」

「ええ、いいのよ。あたしは。」

「寝るところがないなら、ここへお出でよ。僕はかまわないんだから。」

「いいえ、そうしていて。あたし眠くなれば眠るからいいわ。」

「そうか。」

参木はお杉が習い覚えた春婦の習慣を、自分に押し隠そうと努めているのを見ると、それに対して、客のようになり下ろうとした自分の心のいまわしさにだんだんと胸が冷めて来るのであった。しかし、あんなにも自分を愛してくれたお杉、その結果がこんなにも深く泥の中へ落ち込んでしまったお杉、そのお杉に暗がりの中で今逢って、ひと思いに強く抱きかかえてやることも出来ぬということは、何んという良心のいたずらであろう。前にはお杉を、もしや春婦に落すようなことがあってはならぬと思って抱くこともひかえていたのに、それに今度は、お杉が春婦になってしまっていることのために、抱きかかえてやることも出来ぬとは。――

「お杉さん、マッチはないか。一遍お杉さんの顔が見たいものだね。良かろう。」

「いや。」とお杉はいった。

「しかし、長い間別れていたんじゃないか。こんなに顔も見ずに暗がりの中で饒舌っていたんじゃ、まるで幽霊と話しているみたいで気味が悪いよ。