Japanische Klassiker mit Furigana
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うえのかいわい
上野界隈
久保田 万太郎
Lesen Sie 上野界隈 (うえのかいわい) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.435 Zeichen · 11 Bildschirme
――『霜夜の鐘』は明治十二年一月、作者六十四歳のときの作『黒手組』は安政五年三月、作者四十三歳のときの作である。
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『霜夜の鐘』のその「不忍新土手の場」が廻って「根岸道芋坂の場」になり、さらにそれが廻って「上野三枚橋の場」になる。「宵に呼ばれた茅町の……」という按摩宗庵の台詞によった有名な個所である。「本舞台正面三枚橋上下駒寄せ、黒塗りに白く広小路と記せし用水桶、日覆より雲のかゝりし月をおろし、総て上野三枚橋夜更の体、時の鐘、水の音、犬の声にて道具留る」とあるト書が簡単ながらよく明治の初年のそのあたりの色彩と気もちとを感じさせる。そうしてそれを裏打するものに天狗小僧金助の「降るかと思つた雨雲も、ぞつと身に染む夜風に晴れ、影さへ凄い冬の月、宵にしまつた屋体見世の中に己が寝てゐるとも知らぬが譬の仏店、常念仏の六阿弥陀を、向うに見ながら年寄が、後生をねがふ心もなく、慾に目のねえ振をしてごまかす按摩の荒療治」という台詞がある。――その「仏店」の所在をいまわたしは審にしないが、何としてもそのあたり、あくまで東叡山寛永寺の支配をうけた、暗い、沈んだ、謙虚な陰影に満たされた町筋で嘗てあったことだけはたしかである。