Japanische Klassiker mit Furigana
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ふざいじぬし
不在地主
小林 多喜二
Lesen Sie 不在地主 (ふざいじぬし) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.990 Zeichen · 141 Bildschirme
」
次の昼頃、ラッパの音が聞えると、皆村道に出て行った。
お恵は髪を綺麗に結い直して、由三を連れて出た。畦道を縄飛びをする時のように、小刻みに跳躍しながら走った。
村を出て行くラッパの音は、皆を妙に興奮させた。それを聞いていると、何か胸が一杯になった。足並の揃ったザック、ザックという音と一緒に埃が立った。二日でも自分の家に泊った兵隊が通ると、手を振っている。
「あらあら、俺れアの兵隊さん!」
眼ざとい由三が見つけると、姉の手を引張った。
心持ちこっちへ顔を向けて――その顔が笑っている。お恵は耳まで真赤になった。そして手を挙げた。が、胸のところしかあがらない……。
ラッパの音が遠くなった。
そして行ってしまった。
皆は兵隊の残して行った革の匂いと埃の中に、何時迄も立ちどまって見送っていた。――
六
「あれは口の二つあるダニだよ」
「お茶ば飲みに来ないか。旭川の人も来るし、二三人寄るべから。」
前から伴や阿部のところに、四五人集ることのあるのは知っていた。健は始めてだった。
仕事が終ってから、藁屑のついた着物を別なのに着かえて出掛けた。由三は独り言を云いながら、壁へ手で犬や狐の恰好の影をうつして遊んでいた。