Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふざいじぬし

不在地主

小林 多喜二

Lesen Sie 不在地主 (ふざいじぬし) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.990 Zeichen · 141 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「昨年もああだし、岸野さんも何に云い出すか分らねえべ。」

母親は鼻をぐじらせた。――「お前どころでねえ、五十何年もよくやってきたもんだて、百姓ば!」

「何時かええぐなるべ、今度こそええぐなるべッてな。――んで、最後に、お気の毒様でしたか、ええもんだ!」

母親は黙って、鼻をぐじらせた。

田から上った稲を一粒一粒の米にする。ところが、その米が残らずそのまま岸野に持って行かれてしまう。――それがハッキリ分っている。分っていて、その米を一生ケン命籾にして、殻をとり、搗いて白米にしている。何んて百姓はお人好しの馬鹿者だ!

武田がひょっこり顔を出した。

「精出るなア。」

「何によ。――見れ、この籾。」――母は筵の上にたまった籾を掌でザラザラやって見せた。――

「今、謀叛でも起したくなったッて話してたとこだ。」

武田はとってつけたように、大きな声で笑った。

「な、健ちゃ、少し相談したいことがあるんだが、仕事終ってからでも、俺の家さ寄ってけねえかな。」

健はだまっていた。

「今度の不作で、なんだか騒ぎでも起りそうでよ。村の不名誉でもあるし、相互扶助会としても工合が悪いし……」