Japanische Klassiker mit Furigana
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せかいのかふ
世界の寡婦
宮本 百合子
Lesen Sie 世界の寡婦 (せかいのかふ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.525 Zeichen · 17 Bildschirme
に向って発言しようとしているのである。
昔、三宅やす子という文筆家があった。理学博士の夫人であったが、良人の死後、自分が未亡人という名で扱われることに抗議して未亡人論を書いた。封建のしきたりによって、社会的に活動しようとする婦人まで、良人の死後は「未だ亡くならない人」という観念で見ることの不自然さをついたのであった。
今日、二十代の女性で良人を喪った人は決してすくなくないと思う。結婚後一週間で良人が出征し殺された人々さえ少くないと思う。その人々の真情に痛みあふれている良人への愛慕や、その愛の故に、自分の毎日は内容があり生き甲斐もあるものとしていかなければならないと思って努力している若い心と肉体とは、未亡人というよび名をきいたときどんなに異様に感じ、気味わるく思うことだろう。こんなに本気に、こんなに美しく、悲しみから濾過された平静と希望とをもって生きようとしているのに、「未亡人」――。人生建設を全く予想していないような暗い、じめじめした「未亡人」という名で呼ばれるとは――と。現実は誠実であり虚飾がない。今日の現実はあまり大勢あふれている未亡人たちを、もう昔の未亡人型に押しはめておききれなくなっている。