Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せそう

世相

織田 作之助

Lesen Sie 世相 (せそう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.089 Zeichen · 64 Bildschirme

Aozora Bunko

円い感触にどきんとして、驚いて汗ばんだ手を引き込めようとしたが、マダムは離さずぎゅっと押えていたが、何思ったか急に、

「ああ辛気臭ア」と私の人さし指をキリキリと噛みはじめた。痛いッと引抜いて、

「見ろ、血がにじんでるぞ。こらッ、歯型も入れたな」

そう怒りながら、しかしだらしない声を出して少しはやに下り気味の自分が、つくづく情けなくなっていると、マダムは気取った声で、

「抓りゃ紫、食いつきゃ紅よ、色で仕上げた……」云々と都々逸であった。

私は悲しくなってしまって、店の隅で黙々と洗い物をしているマダムの妹の、十五歳らしい固い表情をふと眼に入れながら、もう帰るよと起ち上ったが、よろめいて醜態であった。

「這うて帰る積り……?」その足ではと停めるのを、

「帰れなきゃ野宿するさ。今宮のガード下で……」

「へえ……? さては十銭芸者でも買う積りやな」

「十銭……? 十銭何だ?」

「十銭芸者……。文士のくせに……」知らないのかという。

「やはり十銭漫才や十銭寿司の類なの?」

帰るといったものの暫らく歩けそうになかったし、マダムへの好奇心も全く消えてしまっていたわけではない。「風俗壊乱」