Japanische Klassiker mit Furigana
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「もくせい」ごうのなぞ
中谷宇吉郎集 第六巻
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 中谷宇吉郎集 第六巻 (「もくせい」ごうのなぞ) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.784 Zeichen · 269 Bildschirme
そしてそれは牧野さんの長文の序文をつけて、岩波文庫として出ることになった。牧野さんはその出版を待っておられたが、当時の印刷事情では、なかなか進行しなかった。けっきょく敗戦の前年の十一月に、やっと出版された。
『島津斉彬言行録』は、牧野さんの推奨に値する驚くべき本であった。私は一読、科学の精神に徹した稀れな日本人の一人として、初めて斉彬公の面目をうかがい知った。科学と権力とは、普通には両立し得ないものである。当時の軍に対して、科学を求めることは、この原則からいっても無理な註文であった。きわめて稀れな場合に、その両者が一致する。そしてその時には新星の出現のような光芒を発するのである。斉彬公の場合が、そのきわめて稀れな一つの例であったと私には思われた。
読後私は、解説なしでは、一般にはこの書の真意は理解されないであろうと考え、かなり長い解説を書いて、牧野さんのところへ送った。これは後に、『科学の芽生え』と題する小冊子として印刷に付した。牧野さんはたいへん喜ばれて、斉彬公の科学精神が、あれほど高いものだとは知らなかったという意味の返事がきた。それには、しかしこの書を要路の人に読んでもらうには、もう手おくれだと書き添えてあった。