Japanische Klassiker mit Furigana
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「もくせい」ごうのなぞ
中谷宇吉郎集 第六巻
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 中谷宇吉郎集 第六巻 (「もくせい」ごうのなぞ) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.784 Zeichen · 269 Bildschirme
その中には、外国通信社の人たちもあり、千葉の寓居も大分賑やかになった。しかし牧野さんは、軍閥の重圧下にあった時と、少しも変らぬ静かな生活をしておられた。もっとも精神の方はしっかりしておられたが、急に身体は衰えられたような気がした。敗戦の痛手がよほどこたえたのであろう。
生活は相変らず質素であった。終戦の次の年だったか、内原の加藤完治氏のところで講演を頼まれ、その御礼に味噌を貰ったことがある。帰りに柏へ寄ったので、その味噌を牧野さんのところへ差上げたところ、久し振りで味噌汁が吸えるといって、たいへん喜ばれた。いわゆる大衆というものは、戦争中は竹槍をかついで歩き廻り、敗戦後は、自分たちを焦土から救ってくれた人に、味噌汁も吸わせない人種のことらしい。
終戦後の牧野さんの楽しみの一つは、『回顧録』の出版であった。第一巻の後記に吉田健一氏が書かれているように、口述とはいいながら、全篇にわたって牧野さんの筆がはいっているので、著述とみてよいものである。志賀(直哉)さんの熱心なすすめによって着手されたこの仕事は、重大な意味をもった仕事であった。第二巻が本になった時には、牧野さんは既に最後の病床にあった。