Japanische Klassiker mit Furigana
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まるのうち
丸の内
高浜 虚子
Lesen Sie 丸の内 (まるのうち) von 高浜 虚子 (たかはまきょし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.875 Zeichen · 46 Bildschirme
朝早くまだ掃除婦の来ない時か、もしくは昼間、掃除婦の遠ざかっている時に便所にはいると正に驚くべき現象を見ることがある。それはどの便所も/\悉く黄色いものがぷか/\と浮いていることである。ただちょっと水を出して流すだけの手数をせずに立去る人の心を考えさせられる。
私はここを出て、再びわが事務所のドアを鍵で開けてはいる。部屋にはもうスチームが通って愈々暖かだ。事務員もそろ/\来る。四隣の室にも人声、物音が聞こえはじめる。そろ/\とビルデングの活動がはじまりかけたのである。
やがて集配人が肩に掛けている鞄にはみ出すようにつめ込んだ郵便物を配達して来る。これ等の集配人は丸ビルのみを受持つものであるそうな。この丸ビルには一千に近い事務室がある。これを平地に延べて見たらば先ず一千戸ある町である。それに配達する郵便物は可なりな分量のものであろう。そこに配達する集配人も特別な人を要するわけである。
最前から電話の鳴り続けている部屋がある。そこの事務員はまだ誰も来ないものと見える。
隣室にはタイプライターを打つ音が響きはじめる。
中庭を隔てて向う側のある部屋の窓には人顔がうつる。