Japanische Klassiker mit Furigana
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たんなやまのかい
丹那山の怪
江見 水蔭
Lesen Sie 丹那山の怪 (たんなやまのかい) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.168 Zeichen · 15 Bildschirme
「へえ、それは、私共の村へも参りましてござりまする。大評判で、実に不思議な芸をして見せました。一人で七役も勤めまするので、小紋三と申しますのが、お染、久松、小僧、尼、子守女、女房、雷鳴様にまでなりまする。それから忠臣蔵を致します時は、先ず五段目でも、与一兵衛から、定九郎、勘平、テンテレツクの猪まで致しました。それで、どうもこれは、飯綱遣いであろう。でなくは切支丹ではないかと、韮山で興行の折は、江川太郎左衛門様の手代衆が一応お調べになりまして、確かに魔法妖術ときめて、既に獄門にもなろうとしましたのを、江川の旦那様がお聞きになりまして、再お調べで、その時申開きが立って放免になりましたという。まことに珍らしい芸人でござりました」とくわしく説明した。
「ふむ、それを当村でも先月掛けたのだな。豊年祝としてなァ」と純之進は凶作を言立てられぬように釘を刺した。丹那村の者は皆苦い顔をして項垂れた。
その中にヒョイと一人、面をもたげて、さも嬉しそうに、ニヤニヤと笑った者があった。それを見た純之進は、ゾッとした。これぞ一昨日箱根の国境から見え出した謎の男。昨日山路に掛ってから、駕脇に幾度となく近よって物云いた気にした者であった。