Japanische Klassiker mit Furigana
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くぼたべいさいくんのおもいで
久保田米斎君の思い出
岡本 綺堂
Lesen Sie 久保田米斎君の思い出 (くぼたべいさいくんのおもいで) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.435 Zeichen · 17 Bildschirme
真白に塗る歌舞伎の顔は五分や十分で出来るものじゃない。壁を塗るのと同じ理窟で、下塗、中塗、上塗と三度塗らなければ、ツヤのある綺麗な顔は出来ません。下塗を乾かすために団扇で煽いだりしたものですが、今はそんな暢気な事をやっていられないから、はじめから濃いやつを塗る。白粉の方もだんだん器用な物が出来るようですけれども、とにかく日本の芝居で幕間五分というのは、いろいろな点からいって無理なのです。正直にやれば長くなるから、臨機応変でやって行くということになります。
私の書いた『幡随院長兵衛』の芝居、あれは米斎君の方から、今度の芝居は湯殿が出ますか、という御尋ねがありましたから、出ますというと、今までの芝居でやっている湯殿は出たらめだ、あの時分の湯殿はこうこういうものだから、それで出来るように芝居を書いてくれ、ということなのです。私は実はあの頃の湯殿がどんなものだか知らないんですが、縁側みたいなものがあって手摺がついている。花活に花が活けてあったりして、何だか妙なものだと思ったけれども、万事先生の指図通りにやりました。この場合には限りませんが、舞台装置をなさる方にはまたそういう御道楽があって、今までやっているのは嘘だから、今度はこういう風にやる、というようなところでいい気持になるらしい。