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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきりょう

久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集

久生 十蘭

Lesen Sie 久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集 (いきりょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.698 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

と呼んでいる三棟ばかりの木造の建物。雲の塊のような緬羊が遊んでいる広い牧場。聖体秘蹟につかう酸っぱい葡萄酒のできる広い葡萄園と段々の畑。

津軽海峡の鉄錆色の海の中へ突き出した孤独な岬の上に建っているこの「灯台の聖母修道院」にもこんな風に気ぜわしい春がくる。朝の勤行の鐘の音も、夕の祷の鐘のひびきも満ちあふれるようなよろこびを告げる、春。

ところで、ベルナアルさんにとっては春がやって来ることがたいへんな苦労の種になる。

ベルナアルさんは、たいへんにおしゃべりが好きである。いったんしゃべりたいとなると、矢も楯もなくなってしまう。舌が口の中に一杯になるほど膨れあがり、唇は芝蝦の子でも跳ねるようにピクピクと痙攣れる。断食も、苦行も、この誘惑から逃れさせる力を持っていない。

ベルナアルさんは、丘のうしろの洞窟の中へ駆けこんで、聖母の像の下に跪いておしゃべりの誘惑から逃れるために汗だくになっていっしんに祈る。

不幸なことには、祈るほどベルナアルさんの舌はいよいよ膨れあがり、身体じゅうの血が顳のあたりへ集まってきてえらい勢いでズキンズキンやる。頸にも打紐のような太い血管が現れ、身体じゅうビッショリと汗びたしになる。