Japanische Klassiker mit Furigana
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ちちをさす
乳を刺す
邦枝 完二
Lesen Sie 乳を刺す (ちちをさす) von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.474 Zeichen · 35 Bildschirme
早くも瞼がぬれていた。
お春と常吉が、由利の帰宅を報せに、見世先から駈け込んだので、伊吹屋は急に活き活きとにぎわっていった。
朝風
「親分、大変だ」
「やいやい、岩吉、騒々しいぞ。御用を預かる家で、一々大変だなんぞと云ってたんじゃ、客人に笑われるぜ。気をつけろい」
「へッ。こいつア大しくじりだ。いつもの癖が出ちまったんで。……こりア黒門町の親分、お早うございます」
「岩さん。朝から大層な働きのようだな」
「伝七親分の前でござんすが、十年に一度って騒ぎを、聞き込んでめえりやしたんで……」
「岩、そりア何だ」
親分の問いに、打てば響くように、岩吉の声は冴えた。
「へい。ゆうべ、将軍様のお供をして来た御殿女中が、殺されやした」
青山北町の岡っ引留五郎の家では、昨夜は老衰で死んだ父親の通夜とあって、並み居る人達の眼ははれぼったかったが、岩吉の声に、一斉に眼をみはった。
留五郎の父親も江戸では名の通った捕物師だったので、黒門町の伝七も、わが子のように可愛がって貰った縁があるところから、子分の獅子っ鼻の竹造を連れて、一夜をここに明かしたのであったが、今も今、帰ろうと立ちかけた矢先に、聞き捨てならぬ珍しい話だった。