Japanische Klassiker mit Furigana
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よしんちょうしょ
予審調書
平林 初之輔
Lesen Sie 予審調書 (よしんちょうしょ) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.371 Zeichen · 23 Bildschirme
実際、偶然というものは人間の考えも及ばないような場合をつくり出すこともたまにはありますが、ああいう誂えむきな話を、裁判長に信じさせるということは、まず、余程困難だとみなければなりませんからねえ。」
もし篠崎判事の目的が、原田教授を苦しめて苦しめぬくことにありとすれば、彼の目的は完全に達せられたといってもよい。なぜかなら老教授は、ただ身体の中心をとって倒れずにいるのがもうせいぜいのように見えるからである。けれども判事の目的は、相手を苦しめぬくよりも以上であるらしい。少くも、老教授にはそうとよりとれなかった。
瀕死の病人は、死期が迫るにつれて、恢復の見込みを医師に頻繁にたずねるものである。そういう場合に老練な医師は患者を絶望させるようなことは決していわないものである。ところが、篠崎判事は、病人が息をひきとるまで、病人に恐怖を与えつづける無慈悲な医者と同じようであった。
「せがれは無罪にはならんでしょうか?」
蚊のような細い教授の声に対して判事は答えた。
「無罪どころではありません。過失罪として情状を酌量されるかどうかも、今となっては疑問で、ことによると謀殺と認定されるかもしれないのです。