Japanische Klassiker mit Furigana
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よげん
予言
久生 十蘭
Lesen Sie 予言 (よげん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.000 Zeichen · 27 Bildschirme
それで、頃合いをはかってバァへ行ってみると、知世子は奥の長椅子にフェルナンデスと並んで掛け、相手の肩に手をかけて、なにかしきりにかきくどいている。安部は痩せて小さくなった知世子の顔を見ると、思ったよりみじめなことになっているらしくて、知世子がかわいそうになった。
安部が二人のそばへ行くと、知世子はあげた眼をすぐ伏せ、観念したように身動きもしない。フェルナンデスは椅子から立ちあがると、微笑して腰をかがめ、病気はもういいのか、印度洋と紅海の暑さには、誰でもやられる、というようなことをいいながら、白い歯を見せ、流し眼をつかい、口髭をひねり、こういう種類の女蕩しが、当然、果すべき科を、残りなく演じてみせた。安部は、
「あなたがいてくれたので、家内が退屈しないですみました。どうもありがとう」
と礼をいうと、フェルナンデスは、明日、ナポリへ着いたら、世界的に有名なカステル・ウォヴォ(卵の城)の魚料理へご案内しようと、いま奥さんに申しあげていたところですが、あなたもご一緒に、いかがですかと誘った。
翌日、午後二時頃、カプリを左に見ながらナポリ湾へ入った。出帆は七時だというので、大急ぎで上陸し、暑いさかりのカンパーニャ平原を自動車で飛ばしてヴェスヴィオの下まで行き、またナポリへ戻って、急傾斜の狭い町々を駆けまわってから