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Japanische Klassiker mit Furigana

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よげん

予言

久生 十蘭

Lesen Sie 予言 (よげん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.000 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

それでみな総立ちになった。そこへ知世子が飛んできて、

「しっかり遊ばして」

と安部を抱き起こした。安部はしげしげと知世子の顔を見ていたが、渋くニヤリと笑うと、

「石黒にやられた。死にたくない、助けてくれ」

といった。

すぐ病院自動車で大学へ運んだが、鎖骨の下から肩へ抜けた大きな傷で、ついて行った人間だけで、ともかく輸血した。病室へ帰ると、安部は元気になり、酒田に、

「へんなことをやっちゃった。船はいやだから、シベリアで行く。一日も早くモネのところへ行きたいから、査証のほうをたのむよ」

と気楽なことをいった。

「よしやっておこう。それはいいが、どうして、あんな馬鹿な真似をしたんだ。驚かせるじゃないか」

と酒田がいうと、安部は澄んだ美しい眼で、

「石黒の催眠術にひっかけられたんだ。ホールへ入る前、廊下で石黒にひどく睨みつけられたから、たぶん、あの時だったんだろう……だが、面白いには面白い。ハープを一曲奏き終える間に、これでも、ちゃんとナポリまで行ってきたんだぜ」

と、くわしく話してきかせた。安部は死ぬとは思っていないから、ひとりではしゃいでいたが、われわれは、もう長くないことを知っているので、なんともいえない気がした。