Japanische Klassiker mit Furigana
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よげん
予言
久生 十蘭
Lesen Sie 予言 (よげん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.000 Zeichen · 27 Bildschirme
石黒の細君の自殺もへんなもので、嫌われたぐらいで突きつめるような人柄とも見えない。そのころ、石黒はシベリヤの途中まで来ていたが、それが日本へ帰りつく前に安部を陥落させようと、あれこれ手管をつくしているうちに、ついお芝居に身が入りすぎたというようなことだったのだろう。
それから十日ほどして石黒が帰ってきた。一面、洒脱で、理財にも長け、落合にある病院などもうまくやり、理知と世才に事欠くように見えなかったが、内実は、悪念のさかんな、妬忌と復讐の念の強い、妙に削げた陰鬱な性情らしく、新聞社へ出かけて行って安部の讒訴をしたり、なんとかいう婦人雑誌に、「自殺した妻を想う」という公開状めいたものを寄稿し、安部が石黒の細君を誘惑したとしかとれないようないいまわしをするので、世間では、なにも知らずに安部を悪くいうようになった。
酒田は腹を立てて告訴するといきまいたが、なんといっても、亭主の留守へ入り浸ったという一条があるので、強いことばかりもいえない。それで、仲間と伯爵団の有志が会館へ集まっていろいろ相談した結果、このままでは、懲罰委員会というようなことにもなりかねないから、いっそ早く結婚させて、二人をフランスへでもやってしまえということになり、式は十一月二十五日、日比谷の大神宮、披露式は麻布の酒田の邸でダンス付の晩餐会