Japanische Klassiker mit Furigana
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ふたつのじょぶん
二つの
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 二つの (ふたつのじょぶん) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.903 Zeichen · 236 Bildschirme
木枯の吹き荒れる宵などは「病床近くに膳具を運」び、「狸の人をばかす話」だの、「ミゼラブルの話など」をされた。「狸は人に化けるものだといふやうな事を信じて」いた美代も、かたわらでその話をきいていたのであろう。
「世間は目出度いお正月になつて、暖い天気が続く。病人も少しづゝよくなる。風の無い日は縁側の日向へ出て来て、紙の折鶴をいくつとなくこしらへて見たり、秘蔵の人形の着物を縫うてやつたり、曇つた寒い日は床の中で「黒髪」を弾く位になつた。そして時々心細い愚痴つぽい事を云つては余と美代を困らせる。妻は其頃もう身重になつて居たので、この五月には初産と云ふ女の大難をひかへて居る。おまけに十九の大厄だと云ふ。美代が宿入りの夜など、木枯の音にまじる隣室の淋しい寝息を聞きながら、机の前に坐つて、ラムプを見つめたまゝ長い息をすることもあつた。」
病人は案外早く快方に向って、一月十三日にはもう「夏子も起き出でゝガラスを拭ひなど」するまでになった。晴れた寒い日である。「鳥影障子にさせ共人も来ず。梅のつくり花一輪こしらへて庭の枯枝に付けたり」「バイオリン取出て Harmonious Blacksmith と云ふを習ふ」